職業訓練に携わっていると、男性でも事務職に就きたいという方が意外といらっしゃることに気付かされます。
果たして男性でも事務職に就職することはできるのでしょうか。
男女雇用機会均等法のおかげで、男性でも事務職へ応募はできるようになっていますが…
これまでわたくしが指導してきた人たちのことを踏まえて、批判を覚悟であえて厳しいことを書かせていただこうと思います(というか実際批判されまs
当サイト最長の記事となってしまいましたが、読み応え十分でどこよりも詳しく、そして厳しく男性の事務職への就職を応援する内容になっていると思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
1つくらい男性の事務への就職に喝を入れるサイトがあってもいいじゃないか
男性で事務として働きたいという方は少なくありません。
ですが、まず知っておいてほしいことは、事務職への就職をメインターゲットとしたこんなサイトに一定の需要があるくらい事務職の人気が高く、そして就職が難しいです。
有効求人倍率(ひとりあたり何枚の求人があるか)が0.4とかが普通です。1人につき0.4枚しか求人が無い、ということになります。
(なお他の職種ですと2とか3とかあったりします。1人につき2~3枚の求人があるということです。)
そして今お話ししているのはあくまで「女性が事務に就職するには」という話です。
これが男性となると…それはもう並大抵の努力では不可能です。
場合によってはあきらめた方が賢明…ということも普通のことです。
そして男性の場合、仮に採用されるとしても、総合職や力仕事込み、現場作業込み、営業も兼ねて…など、ほかの職種と兼務であることが多く、事務一本で採用されることはかなり難しいです。というか無理に等しいです。
Web上では、男性でも事務に就けるから頑張れ!的な、事務職を目指している男性にとっては背中を押してくれるようなサイトも見られます。
確かに可能性はゼロではありません。
しかし現実をたくさん目の当たりにしているわたくしからしたら、ちょっと安易に背中を押しすぎだと感じます。
なぜそんなに男性が事務に就くのが難しい?男が事務を目指したらダメ?
事務職は就きたい人が多いのは前述のとおりです。
女性が事務に就きたい理由のひとつとして、安定しているというものがあります。
安定というのは残業が少なく土日休みで、家庭との両立がしやすいなどを指すと思います。
またコミュニケーションをそれほど取らなくていいと思われているのも人気の理由かと思います(実際はコミュ力はかなり必要だったりするので、これは誤解と言えます)。
いっぽう男性ももちろんこれらに当てはまるとは思いますが、なんといっても営業みたいなノルマがあるわけでもなく、かつ現場のような体力が必要なわけでもなく…
となると、「事務がやりたい!」という男性が増えるのも無理はないと思います。
そもそも事務ってどんな種類がある?
企業の営業活動が円滑に進んでいくためには事務は必要不可欠です。
代表的なものは以下の通りです。
- 一般事務(書類作成や処理、電話・来客応対、データ入力、伝票入力や整理、ファイリング、雑用・清掃など)
- 経理事務(お金の管理が主。簿記が必要だったりする)
- 総務事務(給与計算・社会保険関係など、人の管理が主。社労士の知識の一部が必要だったりすることも)
- 営業事務(受発注管理などの取引先とのやり取りや、書類作成など)
詳しくは以下の記事に書いております。
別に男性でも事務に応募してもよくない?
確かに男性でもいいんですが、上記の職種の中で一般事務だけは男性が就くには絶望的に難しいです。
それ以外にも経理や総務といった一般事務以外の事務職も、男性が採用されるのが難しい理由はいろいろあります。
- 直接的に利益を生むポジションではない
- 専門知識がそれほど必要なく(一般事務)、ある程度の方ならだれでもできるような内容が多い(わたくし自身はあまりそう思いませんが、世間一般ではそんな感じみたいです)
- 上記のとおりなので人件費を一番おさえたいポジションである。給料が高くなく、その安い給料でつかうのがさすがに申し訳ないと考える企業もあり
- 女性の事務員さんに産休や結婚で退職されても、次の人で穴が埋まりやすい
- 受付や電話応対など、女性特有のやわらかい対応・雰囲気が求められることが多い職種であること
というように、たくさん女性が応募してくる中で、男性を事務で雇うメリットを見出している会社は少ないということです。
そしてなにより”女性の採用を前提として募集をかけている”ことが大半です。
人事も面接で「なんで男性なのに事務を選んだの?」などと聞いてきたりするくらい、まだまだ男性が事務に就くことは珍しく、それがそのまま難易度の高さにあらわれていると言えます。
上で書きましたが、仮に内定を得たとしても事務+ほかの業務というように、事務のみでの就業はまず不可能です。
ほかにも、経理や総務であれば、将来の幹部候補として男性を募集していることもあります。
つまりそのように、「女性には任せることが難しいような業務やポジションを任せること」こそが男性を雇う意味のひとつ…とも言えるでしょう。
男性が事務職に就いた際のメリット・デメリット
今度は逆に、あなたが男性として事務職に就いた際のメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
1.体力面への負担が少ない
やはり座ったりすることが中心のため、現場作業や肉体労働などに比べれば圧倒的に体力の消耗が少ないです。
体力仕事が苦手な方にはすごくありがたいと思います。
2.プライベートとの両立がしやすい
効率的な仕事ができればという前提ですが、残業はほとんどないため定時で帰りやすく、土日休みなのでプライベートの計画が立てやすいというのも魅力です。
営業や接客などと違ってお客さんの都合で休日も出勤…なんてイレギュラーなこともほとんど起こりません。
友人との時間に充てられますし、家事や育児に参加しやすくなり、奥さんの負担を軽減させられます。
また体力仕事ですと家に帰って家事や育児に回せる体力が残っているか…と言われると難しいものがありますよね。
他にも自己啓発のための時間も取りやすくなるため、スキルアップのしやすさというのもメリットでしょう。
万が一事務からのステップアップを考えたときに、空き時間を利用してスキルを身に付けておくのです。
3.営業職のようなノルマはない
ノルマがないので先輩や上司に怒られずにすみますし、査定に響くというようなこともありません。
このストレスから解放されるのはもの凄く大きいのではないでしょうか。
4.パソコンが得意な方がスキルを活かしやすい
パソコンが得意という限定つきですが、事務職はパソコンを使って仕事をすることが大半です。
特にExcelであれば関数を組んで仕事の効率化を図ったりすることができるため、パソコンが好きでなおかつ得意な方にはスキルが活かしやすく趣味の延長線上と言えなくもないです。
パソコン以外の事務の業務は知りませんが(笑)
デメリット
1.収入が低い
管理職または経理・総務などになってくるとまた変わってきますが、事務職は利益を生むポジションとは言い難いため、高い給料は期待できません。
少なくともかなり長い年月の間、低収入となる可能性が大です。
独身ならまだいいにしろ、家庭を持つと事務の収入ではやっていけない可能性があります。
ですから家庭をこれから持つ、あるいは出産などで家族が増える場合は、転職をよーく考える必要が出てきます。
また残業が少ないというメリットは上で書いた通りですが、その反面として残業手当がもらえないということで、さらに収入の低下を招きます。
給料と時間が天秤にかかるというわけです。
転職サイトdodaにおける年収調査(2018年版)によると、事務職全体の平均年収は330万円です。
男性だけに限ると384万円となっていますが、営業職の男性を見てみますと468万円で、80万円以上のひらきがあります。
月に6.6万円も差が出ているという計算になります。
また年齢別の調査(2018年版)をご覧いただくと、事務職の男性の384万円は、20代の男性の平均年収(367万円)をかろうじて上回れる程度です。
ちなみに30代の男性の平均年収で比べるとこちらが487万円なので、事務職の平均年収を100万円も上回ってきます。
ただし収入の低さは、家事や育児への負担を夫婦で分かち合うことにより、奥さんが働きに出られる時間を作ることにより補える可能性があります。
結果的に世帯全体の収入があがるということですね。
2.減点式の評価
特に営業など、数字を挙げる仕事からキャリアチェンジした場合、減点式の評価に耐えられない可能性があります。
事務は「完璧にできて当たり前」という厳しい目で見られますので、少しでもミスがあるとなかなか風当たりが厳しくなったりします。
営業で言う契約を目標以上に取ってきた、などの加点してもらえそうな部分が少ないので、やりがいをあまり感じられなく退屈だという方もいらっしゃいます。
3.肉体労働や営業等では起こりにくい体調不良を引き起こすかも
目の疲れ、肩こり、座りすぎによる腰の痛み、腱鞘炎など、事務ならではの身体への負担があり得ます。
また動きまわる仕事ではないため、体重の増加が見込まれてしまいます。
体力的にはメリットですが、こういった食生活や運動などの健康管理は気を付けたほうが良いでしょう。
男性が事務職に就職するためには甘い考えは捨てる
べつに男性に限ったことではありませんが、事務職へ応募を希望している方は甘い考えの方が割と見受けられます。
「まあなんとかなるであろう」…はまず受かりません。
コミュニケーションが苦手なので事務職を…はNG
男性のみならず事務希望の方でよくいらっしゃいますが、人と接する機会が少ない(つまり人とコミュニケーションを取らなくて済む)から事務を選ぶ、という方がいらっしゃいます。
たしかに実際にそのような方と接していると、お世辞にもコミュニケーションが苦手そうな方ばかりだったりします。
事務職は会社の留守を任されたり、上司や同僚などにいろいろ尋ねられたりすることも多く、また逆に尋ねなければいけないことも割とあるため、会社の人たちなどとコミュニケーションを取る機会が多いです。
つまりコミュ力はかなり必要ということです。
そもそもこのような方は、事務職どころか通常の就職すら危ういかもしれません。
「体力仕事がもう無理だから」「立ち仕事が難しい」「楽そうだから」…もNG
くどいですが、事務職は女性ですら簡単には就職出来ません。
男性(あなた)を雇うメリットを企業側が感じてくれなければ、採用されることは絶対に不可能です。
つまり自分の都合など関係ない、ということなのです。
そしてもっともダメなのは「楽そうだから」という理由。
事務が楽という人はあまりおりません。
上でも書いておりますが、コミュ力が著しく低い人はものすごく大変です。特に女性も多いですので、異性とのコミュニケーションや適応・順応はものすごく消耗すると思います。
またパソコンスキルも必要ですし、なにより事務職は減点式の仕事なので、「できて当然」と思われます。
さらには「座ってて楽そうなのになんでできてないの」などと、あなたが誤解している要素をそのままやり玉にあげる材料とされてしまいます。
男性が事務職を選んだときに考えなければいけないこと
選んだ理由を明確にする(キャリアを想像)
この記事の中でも触れております(あるいはこれから触れていきます)が、事務職ではいろいろなスキルが身に付いていきます。
男性は寿や妊娠などの退職はありませんので、長く働いてもらうことが大前提です。その長いキャリアの中でこれらを身に付けたうえでどう活かしていき、最終的にはどのようなキャリアを積みたいのかをしっかりと考えておきましょう。
つまり志望先の会社に所属した場合の将来のビジョンをきちんと描く、ということです。
これがそのまま面接試験の対策にもつながっていきます。
これに関してはまた後ほどお話しします。
あまり何も考えずに、前述のとおり単に楽そうだから…というような理由で選ぶと、キャリアの上積みが望めず、そして給料も安く将来的に何も残らない…といったことにもなりかねません。
万が一その状況が不満で転職を考えたときにも強みがなく、転職がままならないでしょう。
事務経験者にいろいろ聞いてみる
男性の事務経験者はいないかもしれないので、女性でも構いません。
事務経験者に事務職の仕事内容を聞いてみるのが良いでしょう。
仕事の内容など、経験していないことは想像がしにくいと思います。
そんなときはやはり経験者に聞くのが一番でしょう。
また求人票などに書いていないような内容や、実際に働いている(いた)感想なども聞けたりすることがあります。
別に聞く相手はなにも同年代である必要はありません。
ご家族の方でも事務経験者であれば聞いてみてもいいでしょう。
実際に「親が事務として働いていていろいろな話を聞いたから事務を目指すようになった」という人も少なくありません。
というか結構います(笑)
男性が事務職に採用される方法をいくつか挙げてみた
まずは事務職に求められているものを知り、男性で事務職に就く
職種別に必要なスキルや心構えなどは後述するとして、とりあえずは事務職全体として企業が男性(あなた)に求めているものをお話していくとします。
1.パソコンスキル
いまやパソコンを使わない事務職は無いと言っても良いでしょう。
タイピング、メールやWord・Excelは最低限使えるようにしておきましょう。
場合によってはPowerPointやAccess、ITパスポート試験くらいまで取っておくと良いかもしれません。
Word・Excelに関しては、少しでも有利に運ぶために、Microsoft Office Specialist試験のエキスパートを取得するなど、女性よりワンランク上のレベルくらいは必要かもしれません。
さらにExcelは関数やちょっと変わった機能を駆使し、効率化がはかれるファイルを作れるというスキルも重宝されるでしょう。
新しい機能や関数を身に付けるなど、向上心は常に持っておきましょう。
なお事務職にもとめられるパソコンスキルは以下の記事を参照いただくと良いかと思います。
2.正確性
書類作成は当然ですが、経理における簿記などでも、細かい作業が必要となります。
書類上のひとつのミスが会社にとって非常に手痛いものになることもあります。
事務に限ったことではありませんが、正確な作業は事務職では特に必要となるでしょう。
3.コミュニケーション力や連携・気配りなど
上司や同僚などへの報連相(報告・連絡・相談)というコミュニケーションが必要ですし、営業などのほしいものを率先して用意する、取り組む、行うなどの気配り・視野の広さ・連携力やチームワークも必要となるでしょう。
また外部相手としては、来客や電話に応対するコミュニケーション力が必要となります。
4.改善提案力
男性は事務といいつつも総合職などのポジションも多いだけに、上で書いたようなExcelにおける効率化も同じようなことが言えますが、業務改善のために工夫ができる人材が重宝されます。
たとえば、書類の整理を行い誰が見ても見やすく出しやすく改善する、コストカットのために消耗品を節約するための工夫…などですね。
男性は特に、指示だけ行う「遂行力」はあまり期待されておらず(持っていて当然)、指示+気づいたことなど率先して行える積極性や創意工夫、つまり改善提案力を求められていることが多いです。
5.Webサイトの更新(HTMLの知識)
企業のホームページは外注しているところが多いですが、ちょっとしたことを更新しなければいけない場合、外部に頼むとそのつど費用が発生してしまい、大変なコストになってしまいます。
しかもひどいところになると、費用をケチって最初に作るだけ作ってあと放置していたりとかザラにあります。
ほかにも、仮に社内の人間が作ったとしたら、作った人物が退職してしまい誰も更新できる者がおらず、Webの海をただよっている状態になっていたりします。
というように、Webページを更新できる人は多くないため、HTMLの知識を持っているとかなり重宝されます。
別にいちからホームページを作れなくても良いのです。
修正が出来る程度の簡単な知識さえあれば、それだけでぐっと頼れる存在になるはずです。
もっと知識があれば、ホームページからの集客や売上を生み出す仕組みを作ったりすることも出来るかも知れません。
6.力仕事
女性にはなかなか難しい部分です。
荷物を運ぶなどといった力仕事は、男性ならではの能力(?)と言えます。
事務職の職種選びから考え、男性で事務への就職を実現する
1.一般事務、営業事務
上の方でもいろいろ書いておりますが、一般事務や営業事務で男性を採用することはほぼありえないでしょう。
まず給与を見ていただくとわかると思いますが、大体17~20万前後に収まっていることが多いです。
地方に行くともっと給与は低いです。
この時点で既に女性をターゲットとしていることがわかるかと思います。
女性を狙っているということは、寿を含めた退職もある程度、織り込み済みの場合が多いです。
そのため、下手すると一生仕事をしていく可能性が高い男性を、そのような安い給与で使い続けるわけにはいかないな…と考えている事業所が多いわけです。
そして何より、男性で事務職を希望しているあなたはそんな安月給で一生使われていくのですか?
生計は成り立っていきますか?
また事務職は来客応対や電話対応などの業務もあり、これらを果たしてゴツイ(?)男性がしても相手に与える印象はそれほど良くはないでしょう。
どうせ同じお茶を飲むのなら女性に淹れていただいた方が美味しく飲めるというものです(笑)
男女雇用機会均等法のおかげ(せい?)で求人票に性別指定はできませんが、大体企業の腹の中では女性を募集する、と決めている企業ばかりだと思います。
万が一採用されるとしても20代前半~中盤の男性でしょう。
そして採用されても総合職に近い立ち位置だったり、現場作業が主だったりとデスクワーク1本で働かせてくれることはまずありません。
逆に言えば、事務にも携われるという意味では総合職なんかは結構狙い目です。
もちろん、事務「も」できるけど他の業務もやらなきゃいけないということになりますが、この辺りは妥協すべきでしょう。
たまに50代くらいの男性が立ち仕事ができなくなったからと言って一般事務を希望している姿を見かけますが、どう見てもそのような人に一般事務をさせる企業はないと思います。
経験も華やかさもそしてスキルも何もなく、単に体調の関係で事務がしたいとか…正直言って事務を甘く見ているとしか思われないでしょう。
他にも長く続けられそうだとかおっしゃってた方もいらっしゃいますが、男性は長く続けるのが前提ですから、それは第一の理由にしてはまずいでしょう。
2.経理事務
経理事務は会社のお金の出納や伝票整理、帳簿づけなど…いわば心臓部分をまかされるという非常に重要なポジションです。
経理がやる内容は主に…
- 小口現金の管理(出納)
- 経費や旅費の管理・精算
- 伝票整理
- 請求書の計算および発行
- 銀行振込や当座預金の管理
- これらを帳簿づけする(簿記)
そのため将来性を考え、家庭事情などで辞められにくい男性を割と欲しがる会社が多いです(給与も一般事務よりも少しだけ多いですし、管理職になればさらなるアップも期待できます)。
そうなると大抵の会社は将来的には管理職などの役職に就かせることを考えています。
つまり長く働いてもらうことを想定していますので、採用側も慎重になってきます。
規模としては、大企業は基本的に中途採用を採ることはほとんどなく、しかも新卒のいわゆる叩き上げの方がそのまま経理や幹部にすっぽりとおさまっていきます。
万が一中途採用の枠があるとしたら、中途採用=即戦力と考えると、経験者か上位の簿記資格を持っている、あるいは税理士の科目合格をしている人が有利となります。
もちろんパソコンスキルも必要でしょう。
つまりその道のスペシャリストというやつです。よほど有能な人材以外は経理に就職するのは相当難しいということです。
これは後述する総務事務でも同じことが言えるでしょう。
中小企業では多少この基準が甘くなりますが、それでも難しいことには変わりないです。
大企業と同じくスペシャリストである必要があるでしょう。
昨今の求人ですと、経理の募集で”簿記2級を持っていることが最低レベル”と書いてあるところもあります。しかしネットで調べていただくと、簿記2級があまり難しくない的なことが書いてあったりもしますが…
2019年7月現在、簿記2級は大変むずかしい試験になっています。
ちょこっと勉強した程度で取得できるほど甘くはありません。
簡単だったと言っている人は、おそらく範囲の改定があったことをご存じない方、つまり古い簿記2級を取得されている方ですので、絶対に鵜呑みにしないようにしましょう。
そのため、上記記事にも書いておりますが、いきなり簿記2級は合格できませんので、絶対に簿記3級から勉強をすることをおすすめします。
そして独学ではなく、きちんと資格学校などで学習して取るようにしましょう。
撃沈した人を星の数ほど見ています(笑)
ちなみに、わたくしが以前勤めていた会社に簿記1級を持っていた先輩(経理未経験)がいらっしゃいましたが、あっさりと経理に転職ができていました。
というように、かなり強力な”武器”を持っている必要があります。
そんな方でも、1か月で10社以上の応募は最低ラインと覚悟して頑張りましょう。
未経験の人はもっと応募が必要ということになりますね…
以前、未経験で経理事務を希望していた男性(簿記2級を取得済み)がおりましたが、1年もの月日をかけてようやく中小企業の経理に就職できたということがありました。
ただこの方、経理を希望していた理由が若干甘かったのです。
数字が好きという理由と、営業や接客など前線に立つのがいやという理由だけで志望しておりました。
結局、この男性は1年かけて無事に就職はしたのですが、すぐ辞めてしまいました。
スペシャリストであることと同時に、強い意志(信念)も必要だと感じたできごとでした。
3.総務事務
総務は、おもに人(従業員)の管理となります。
従業員の待遇関連では配慮したり、適切な給与計算をおこなったり、人を雇うことで会社がもらえる補助金の申請をしたり…など、従業員と会社の潤滑油となりうる部分が大きいでしょう。
そのため、経験者はもちろん、社労士事務所経験者や、社労士資格を保持しているなどの方が圧倒的有利です。(そもそも社労士資格をお持ちであれば、独立する方が多いとは思いますが…)
総務事務の行う仕事内容は主に(業務範囲は会社によって大きく異なります)…
- 従業員の入社・退社・従業員や家族の扶養手続き
- 採用活動
- 就業規則の管理等
- 物品・設備等の管理
- 社内イベント企画運営、福利厚生の促進管理
- 文書管理
- 社内セキュリティ関連
- 社内の雑用
または他人の進路相談・就職支援の業務に就いていた方も有利になる可能性があります。
総務関連に就職したい方に手っ取り早いのは派遣会社の事務です。
派遣社員スタッフの管理は割と求人が多い方で、人事労務にたずさわることが可能です。
そのためステップアップのため、経験を積むと割り切って働くこともありかなと思います。
まずは希望ではない条件で入社し、最終的に事務を目指す方法も
1.雇用形態
どうしても事務職に就きたいのであれば、派遣や契約社員も選択肢に入れてみてください。
派遣で経験を積んで、事務の直接雇用へ転職するということです。
紹介予定派遣もないことはないですが、事務ではかなり厳しいでしょう。
パートは逆に面接で「なぜパートを選んだのか?」と聞かれたときに男性ではほぼ回答ができないので、避けた方が良いかもしれません。
2.条件
他にも、時間帯が変則だとか、休日が少ないとか、肉体労働もあるとか、世の女性が敬遠するような条件の会社に応募するというのもひとつの手です。
ライバルが少ないというのはもちろんですが、会社側も応募者が少なくて妥協(という言い方は失礼ですが)してくれる可能性があるためです。
3.職種
そもそもこの方法自体がかなり難しいですが、いきなり一発で事務職へ、というのも難しいものがありますので、まずは営業なり企画なりといった、事務以外の職種に就職するという手です。
何年か信頼を得られるように一生懸命働き、異動を申し出るのも手ですし、事務方に欠員が出たら自分を補充してもらうようにお願いする、などです。
小さめの会社なら意外とありえる話ですが、簿記やパソコンの知識取得など、自己研さんは怠らないようにしておきましょう。
ある日急にお偉いさんから「お前そういえば簿記持ってたな、よしじゃあ経理やってみるか!?」みたいな話があったりするかも知れません。
まあ確率は低いですが、一応こういう方法もありますよ、ということで。
過去に指導させていただいた方が就職した職種
また参考までに、今までわたくしが指導させていただいた男性の方で事務職に就いた業種・企業を以下に記しておきます。
- 工場の事務(現場事務、生産管理、総務事務)
- 商工会議所(どちらかというと総合職)
- 私立の学校事務(経理や簡単なPC管理含む)
- 介護施設の事務
- 税理士・会計事務所
- 経理事務
- 社労士事務所 ※30代後半の方
- 運送会社の事務(ほぼ何でも屋)
- 積算事務 ※ただし20歳くらいの方
- 漁業組合の事務(多少の肉体労働あり)
これらに無事就職できた方も、1か月にかなりの数の会社に応募をしてようやく決まりました。
男性の事務職への面接試験対策
1.「なぜ事務職を選んだのか」を明確にする
上でも書いておりますが、楽そうだとか座ってられるといった理由をそのまま述べてはいけません。
特に男性の場合、営業や企画といった職種ではなく、なぜ事務なのか?を明確に説明できないと採用は近づきません。
その会社で将来的にどうなりたいのか、といったキャリアビジョンを明確にしておく必要とともに、事務職を選ぶに値するエピソードをつけくわえておくとよいです。
「以前の営業職では顧客獲得に尽力を注いでおりましたが、会社の経営にかかわる数字を見ることがありませんでした。会社の営業活動における数字への興味がおさえられず、簿記を取得し、数字という側面から会社の利益、あるいは経費の削減に貢献したいと考え経理事務を志望しました。」
「以前の会社で労務管理や社会保険の知識を持っておらず、悔しい思いをしたため、従業員の方々のサポートを行いつつみなさんのモチベーションを高め、会社の利益に貢献したいと考え総務職を志望いたしました。」など。
事務職への転職理由はこちらの記事にまとめてあります。
2.志望動機をしっかりと考える
事務職は志望動機が非常に作りにくいです。
そのため、「その会社に入ったら自分の○○な能力がこのように活かせる。以前に○×なことがあり表彰されたので、この能力を生かして貢献したい。」などと、能力をアピールしていくほうが建設的といえます。
志望動機の作り方は以下にまとめてあります。
3.融通の利かない人物だと思われないように
これまで散々お話ししている通り、男性は事務だけで能力を発揮してもらうことはあまり期待されておりません。
事務にくわえ他の業務も積極的に行えるということが望ましいです。
そのため「事務以外はいやです」などと拒否してしまうと採用はかなり難しいです。
内定を得るためには応募数も大事。ではその応募数を増やすために…
応募数を増やしていくためには、ハローワークだけでは少々厳しいでしょう。
いろいろと応募する媒体(応募経路)を増やした方が圧倒的に手数が増やせます。
ですからフリーペーパー、折込チラシ、転職サイトなどのWebも並行して活用していく必要があります。
男性の方はやはり事務職の求人が少なく、自分で探していくのもなかなか心が折れそうになります。
そのため、スカウト機能のある、ミイダス への登録(すべて無料)をおすすめします。
最近ちょくちょく聞くサイトですが、バイト情報誌のanや転職のdodaを運営している「パーソルキャリア」が提供しているサービスです。
このサイトは、無料登録してアンケートに答えていくと想定オファー年収がわかります。
もうひとつ、自分を求めている企業が何社あるかもわかります(選考基準に合致した企業)。
つまり自分の市場価値がわかるということです。
男性ならば「自分にどれくらいの価値があるのか?」というのは特に気になる部分じゃないでしょうか。
試しにわたくしもやってみました。
といってもわたしの職業はちょっと変わってるのか知りませんが、アンケートの選択肢にぴったり当てはまるものがありませんでしたが…とりあえず近い職種などを選んでみた結果↓
…ファッ?!
件数多いし年収多い!(笑)
今の仕事より年収が全然上です(涙目)
そしてこのまま登録へ進むと、具体的にどんな企業からアプローチがあるのかを見ることができ、アクションを起こしたりできるというわけです。
実際に登録して1カ月くらいたった後の会社からのアプローチ等がこちら↓
とこんな感じで、オファー件数や興味を持たれている企業の件数などがわかります。
というかプロフィールもっと見てくれよー(笑)
あとお知らせメールも来ますので、いいオファーが来たときだけサイトを確認しにいくという形で問題ないです。
とにかく面倒もないし何より無料というのが嬉しいです。
ちなみにこのサイト、わたくしが仕事で携わっている職業訓練生から教えてもらいました(笑)
転職活動している人は色んなサイト使ってるんだなーと思いました。
あともうひとつ、個人的には「コンピテンシー診断」が良いなと思いました。
以下のような適性を、簡単な質問に答えていくだけで見つけられるという診断です。
結果はこちら(笑)
わたくしの総合適性検査結果
事務関連への適性が強く出ていますが、コンサルタント適性が少ない…
とまあこんな感じで適性がわかっちゃったりするので、ぜひ転職活動のお供として登録しておいてみてくださいね。
公式サイト 面接確約!転職するならミイダス!
もうひとつは、dodaのご紹介です。
聞いたことある方は非常に多いと思いますが、わたくしがはじめての転職活動をしていたころ(17年くらい前?)にはすでに存在していましたので、歴史は相当なものだと思われます。
まさに歴史に裏打ちされた信頼と実績、ではありませんが、老舗のコンテンツなので業界最大級のうたい文句は伊達ではありません。
今回ご紹介するのはdodaエージェントサービスという、dodaに所属するエージェントを介して転職活動を進められるサービスです。
このエージェントサービスを簡単にいうと、あなたのかわりにエントリーから面接日程の調整まで行ってくれます。
こんな方におすすめです。
- 転職サイトで自分にあった求人が見つからない
- 自身の経験が活かせる仕事の見つけ方が分からない
- 転職をしたいけど、何から始めていいか分からない
- 履歴書・職務経歴書の書き方が分からない
転職活動は忙しいものですが、会社に在籍中の場合はさらに忙しいと思われますので、そのような方でもスケジュールを上手く調整し、面接の日取りを決定してくれます。
またエントリー時のアピールなんかも行ってくれます。
実際にエージェントとの面談が必要となりますが、ご自分の代わりに就職活動を行ってくれるのですから、文面だけだとなかなか伝わらない詳細なニュアンスなども直接会って伝えておいた方が良いでしょう。
他にも、ご自分の能力アピールの方法や書類作成のコツなど、就活のノウハウもアドバイスいただけます。
サポートが盛りだくさんと言うわけです。
また、紹介してもらえる求人も、8割はサイト上に掲載されていない非公開求人です。
登録してサポートを受ければ、そのような求人も公開してくれます。
難しいとされる男性の事務職も、「非公開求人」+「就職活動ノウハウの取得」のコンボで、ひょっとしたらチャンスが増えるかも知れません。
公式サイト 非公開求人ならdoda
終わりに
まとめますと、
- 一般事務への就職は絶望的、経理や総務もスペシャリストのみ需要がある
- 面接対策は万全に、なぜ事務にしたのかを明確に
- 経験を積むことを重視し、割り切ることも必要
ということです。
ちなみに事務系の職業訓練などに通ってスキルを身に付ければ就職できるかも…という方もいらっしゃいますが、職業訓練は短い期間内(訓練が終わって90日以内)に就職をさせなければいけないため、難易度の高い事務は諦めさせてくることでしょう。
たった90日程度では男性は事務に就職できないためです。
わたくしは事務系の職業訓練に深く携わっているため、そのような人ばかり見てきました。
男性が事務系の訓練に行くくらいなら、年齢や保持資格にもよりますが、諦めて営業や企画・IT関連など、男性が多く活躍できるような職種に就く方が無難です。
この記事を読まれ、「ふざけんなクソ記事!偉そうに語るんじゃねーよ!」くらいの反骨心で、就活への活力にしていただける方のほうが就職できる気がします。
最後に、どうしても事務に就きたい!という方は、とにかく応募しまくって下さい。
いろんな転職サイトやエージェントを利用するなど、幅広く活動を行うことが大切です。
上でも書きましたが、1か月に10社以上は覚悟してくださいね。
頑張って下さい!
コメント