面接試験で頭を悩ませる質問のひとつ、「退職理由」。
転職活動においてはかなり重要な質問であると世の中で認識されています。
これまでの質問同様、本音を回答するのではなく、建前を上手に述べていくことが必要です。
場合によっては嘘の退職理由も必要になるかも知れません。
ちなみに凄くよくある退職理由は「人間関係(上司、同僚など)」「残業過多」「賃金に不満」「仕事がつまらない」「作業量が多すぎる」「結婚退社」「妊娠」あたりです。
これらは、そのまま告げてしまうとあまり好ましくない「本音」の退職理由が多いです。
ですが、まずはその本音の退職理由と向き合っていけば、そこから上手な建前の退職理由が作れるかも知れません。
ですから、いきなり建前を作ろうとするのはあまりオススメできません。
面接試験における「退職理由」の質問の意図
そもそも前の会社の退職理由なんて、何故聞いてくるのでしょうか。
ずばり「仮に採用したとして、同じ理由で辞められないか」ということが一番でしょう。
せっかく時間と費用をかけて人材を育成しても、すぐに辞められてしまっては無駄になってしまいます。
もう一つは、前職の不満を退職理由として、愚痴を吐きこぼしていないかどうかも見られています。
愚痴は聞いてて良いものではないですからね。
また、職歴が複数ある方は、全ての会社の退職理由を尋ねられる会社もあります。
ですから、前職だけではなく、勤めた会社全てにおいて退職理由を考えておく必要があります。
先ほども書いた通り、まずは自分の本当の退職理由と向き合いましょう。
ではもう一度、よくある退職理由を並べておきます。
- 上司、同僚等との人間関係が嫌になった
- セクハラ、パワハラ(両方する人のことを「セ・パ両リーグ制覇」と言うそうです(笑))
- モラハラ
- 労働時間が長い
- 残業が多い(サービス残業含む)
- 休日が少ない、休日出勤がある
- 仕事量が多い、持ち帰りの仕事がある
- 給料や評価に不満
- 職場が遠い
- 健康面(足腰を痛めた、手荒れが酷くなった等)
- ノルマが酷い、ノルマ未達成
- 結婚、引っ越し
- クビ
- 期間満了、定年
- 会社が潰れた
退職理由の回答のベース部分は
基本は「前向きな理由で回答をする」ですが、わたくしは「ある程度本音でもOKな場合もある」と言わせていただきます。
何故かと言いますと…
よく「前職では実現できなかったことを次の会社で実現したい(できる)」みたいな、退職理由と志望動機が一致しているような回答が模範ということが様々なサイトで書いてあります。
ですが、はっきり言って事務職でそれを言うのはかなり難しいです。
事務職は数字や成果を挙げるような仕事でない場合が多いためというのが一番の理由です。
もちろんそのような理由がしっかり作れるのなら全く問題はありません。
ですから「ある程度本音でもOKな場合もある」という解説になります。
中小企業ならそのようなそこそこの本音でも通るところは多いです。
というか、もし本当にそういった「したかったことができなかった」理由で辞めたのなら、良さ気な退職理由をひねり出そうとしてこのような転職支援サイトで読み漁りなどしていないはず。
何故なら「したかったことができなかった」ということが、そのまま飾らずとも退職理由や志望動機に自然となっているからです。
大体そもそも、みんながみんな20代前半~中盤で独身の女性で、かつ職場や仕事に不満があって辞めたような人ばかりじゃないということですよ。
その辺りの人たちをターゲットに書かれている解説サイトがあまりに多すぎます。
他にも、例えば結婚して辞めた方への解説をまともにしているサイトはほとんどないです。
結婚退社の方は、誰しもが結婚が理由ということならばそれで退職理由はOK!というわけではありません。
とまあそんな感じで、ある意味「人間臭い」退職理由や、普通であれば問題ないという意味でスルーされてしまうような、いわゆる「安全圏」の退職理由にも着目していきます。
そのまま答えても差し支えのない退職理由
- 期間満了、定年
- 会社が潰れた(事業所閉鎖、店舗閉鎖)
- 正社員からパートへの就業であれば結婚退社や子どもの関連
- 出産
- 通勤に無理がある距離への引っ越し(今後引っ越し予定がないことが前提)
これらは全く問題ない理由のため、解説は省きます。
というか特にこれといった解説が出来ません(笑)
答える際にひとひねり必要な退職理由
・健康上の不安
一見すると仕方のないことなのでそのまま言ってしまって良さ気ですが、雇った際に健康上の理由で休みがちになってしまうのではないかと思わせてしまいます。
基本的には履歴書の健康面の記入箇所に「良好」と書くように、健康であることは大前提なのです。
そのため健康面を退職理由にするのはあまり好ましくありません。
他の理由を考えるか、健康を害した根本的な出来事は何だったかを考えるべきです。
例:重い荷物を持つときに腰を痛めた→仕事が合わなかった
また、どうしても健康面で話をしなければならなくなった場合は、現在は完治している旨か、就業に支障がないことを必ず併せて伝えておくべきでしょう。
・人員整理(クビ)
クビは一般的には「会社都合」になるため、仕方ないと思われがちですが、そのまま伝えるとズバリ「仕事ができない人」というイメージを与えてしまいます。
ここは思い切って「会社の業績が悪化し、希望退職者を募っておりましたため立候補しました」としておくとよいです。
・旦那の転勤
1回くらいならかろうじて問題ないですが、それでも「1回あるんだから2回目もあるんじゃないか?」と勘繰られ、「今後旦那さんの転勤予定は?」などと質問されてしまいます。
もちろん全くないのなら問題ないですが、そうでない場合は答え方や職選びに工夫が必要です。
詳しくは以下の記事にて。
・子どもや家庭の問題、または結婚を含む家庭環境が理由
前述のとおり、正社員だったのを退職し、パートでの就業を希望しているなどであれば問題ありません。
そうでなければ少し考えて答えないと、これも単なる愚痴や自分の都合と捉えられかねません
良くあるのは親族の介護などでしょう。
例:「父の容体が悪化し退職いたしました。その後3か月にわたり面倒を見ていたのですが、その甲斐なく3週間前に他界してしまい、身辺整理等が先日終わりました。ようやく働ける環境が再び整ったため現在就職活動をしております。」
など。
ま、きちんとつじつまが合ってたり筋が通ってないとダメですけどね。
例えば子どもの用事が多すぎて正社員を退職したのに、また正社員での就業を希望しているなどでは明らかにおかしいでしょう。
これは実は結婚退社も同じことが言えます。
引っ越しをしていないのであれば、正社員で働いていたのを結婚を理由に退職して、再び正社員に就業をするというのは「前の会社は正社員だったのに辞める必要はあったんですか?実は他の理由で辞めたのではないですか?」となりつじつまが合いません(この場合は素直にパートで就職することを見据えた方が現実的な場合もあります)。
ですから、他の理由を考えていくことになります。
以上4つを例に挙げましたが、ひとひねり必要な退職理由では、全てにおいて「辞めたくなかったが仕方なく辞めたんだ」と思わせるような工夫が必要ということです。
そのままでは悪印象な退職理由
ほとんどにおいて、不満系の退職理由がこの「悪印象な退職理由」に該当します。
そして退職者は、ほとんどがこの不満系の退職理由です。
これらに関しては前向きな理由が必要になります。
・人間関係(上司、同僚など)
当然このような不満は愚痴ですから、印象が激しく悪いです。
「また同じ理由で辞められてしまうのではないか」「あなたにも非はあったんじゃないですか?」とも思われてしまいます。
さらに、この人は周りとの調和が取れないのかなとか、協調性に欠けるのかななどと思われます。
詳しくは別記事にて解説します。
・労働量・労働時間に不満(残業が多すぎる)
作業量が多すぎるとも言えます。
持ち帰りの仕事があるだとか、残業が多すぎる、他の業務と兼務をさせられたなどもこちらに含まれたりします。
例:「前職はオン・オフの区別あまりなく(メリハリのある環境ではなく)、業務を規定量こなせずクオリティも高いものが提供できなくなっていました。自分だけではなく同チーム内の他の人たちも疲労の色合いが濃く、上司に改善提案をしましたが受け入れてもらえず退職しました。」
例:「将来長く働きたいと考えた際に、体力勝負である現場作業では不可能だと感じたため、長く働ける仕事に就きたいと思い退職しました。」
・労働内容に不満
「仕事がつまならなかった」「仕事が合わなかった」「仕事が暇すぎる」などが挙げられます。
例えば部署異動で最初の希望と違う部署へ配属されてしまった、あるいは入社の時点で希望職種と違う、というようなケースから発展していくこともありますね。
例:「与えられたポジションで、自分の能力以外にも勉強をするなど書籍等で知識を付けて業務に取り組んでまいりましたが、やはり質の高い仕事の提供が難しく周りに迷惑をかけることも増え、部署異動も申し出ましたが叶わなかったため退職致しました。」
・条件、待遇の不満
例:「実績や能力を正当に評価していただける環境で、成果を実感しながら働きたいと考えるようになり退職致しました。」
これは何も自分が給料をあまりもらえないというだけでなく、不当に給料をもらいすぎている人間がいて気に入らないという場合にも使えます。
・通勤時間の不満
裏を返すと近場で働きたい、つまり地元で働きたいということになります。
例:「地元貢献という思いが強くなり、地元に密着して働きたいと思い退職しました」
・将来の安定性を求めて
パートやアルバイトから正社員に応募した、というような方に適している退職理由でしょう。
生活の安定を求めたという回答は好ましくないため、以下のようにしておくのが無難です。
例:「正社員として働くことにより、より責任のある仕事に就けると考えたため退職致しました」
単に「責任のある仕事に就きたい」だけですと、「パートやアルバイトに責任はないのか?」と責任感に関して突っ込まれてしまいますので、パート等にも責任感はあるという前置きをしつつ、それ以上の責任を背負って働きたいという意思を伝えることが必要です。
また正社員では仕事の幅が広がるところにも注目して回答します。
パートやアルバイトでは実現できなかったことが正社員なら実現できる、というような回答もありでしょう。
・やりがいがない
面接官にあなたのやりがいなど知ったことではありません、というのが正直なところです。
それでもやりがいを理由にするのなら…
例:「○○に関して改善提案を要求したが、聞き入れていただけませんでした。このようなことが何度もあり、このままではいずれやりがいも失ってしまうと考え、この会社で勤めていくことに疑問を覚え退職しました。」
例:「○×業界は一時的な流行りに乗っているだけと感じました。いずれは先細りしていくのが目に見え、先行きが見えないため退職を致しました。」
この理由であればもう少し細かく、第三者である面接官にもわかるようにどれくらい先行きがないのかを説明できれば良いでしょう。
それか、いっそのこと別の退職理由にすべきです。
・スキルアップ、キャリアアップ等の自己啓発
この退職理由は大抵が見透かされます。
本人のスキルアップの場にされたくないのが会社の本音でしょう。
仮に採用して、スキルを身に付けたらまた辞められると思われることもあります。
色んな転職情報サイトで「キャリアアップ・スキルアップのため退社」が良い退職理由という位置づけになっていることにびっくりします。
もしあなたが退職理由を問われたときに、この理由を述べようとお考えでしたら、すぐさま改めた方が良いでしょう。
なぜかは詳しくは以下の記事にまとめております。
終わりに
まとめますと、
- やりたかったことができなくて、次の志望先ではそれができそうという理由がベスト
- ただし中小企業ならばある程度本音でもいい
- 退職理由は主に3つに大別できる
- そのまま答えても問題ない
- 少し考えた方が良い
- 違う理由にした方が良い
ということです。
退職理由は人さまざまです。
不満があって辞める人がほとんどですので、面接官も当然それは理解をしています。
それをいかに取り繕うか、うまい言い回しで前向きな理由にすることを心がけましょう。
コメント