職業訓練の窓口はハローワークということは既に何度かお話させていただいております。
そういえば雇用保険(失業手当)などの給付関連もハローワークでしたよね。
ということで職業訓練と給付関連は密接に関係しています。
また、コースによっては主婦の方も非常に多く職業訓練を利用されますが、こういった方は旦那さんの扶養に入っている、あるいは入る予定の方が多いことでしょう。
失業手当などの給付をもらうと扶養にはどう影響するのか、あわせて見ていきます。
雇用保険(失業手当)の基本
待機期間と給付制限期間の違い
自己都合退職と会社都合退職では給付が支給される時期や期間が違うのはご存じな方が多いと思います(検索すればあらゆるサイトで解説があります)。
一般的に、どのような退職理由でも必ず7日待たされる「待機期間」があります。
これを終えると会社都合で退職した方は給付が支給されるようになりますが、自己都合ですとさらに90日間の「給付制限期間」が発生し、合計97日過ぎないと給付が支給されないということです。
つまり、給付をもらえるまで待たされる日数は以下のようになります。
- 会社都合退職…待機期間(7日間)
- 自己都合退職…待機期間(7日間)+給付制限期間(90日間)
待機期間=給付制限期間と勘違いされている方が非常に多いようなので、この辺りは気を付けたいところです。
失業手当が支給される前提は
いろんなところで言われていますが、失業手当は以下の前提により支給されています。
- 就職する意欲があり、いつでも就職可能な状態
- ハローワークで求職活動の申込みをして就職活動を行っている
- 退職日以前の2年間に、雇用保険に加入していた期間が通算12カ月以上あること
※特定受給資格者(要は会社都合の退社)、特定理由退職者は退職日以前の1年間に、加入期間が通算6か月以上あること
上記を簡単にまとめますと「すぐに働ける」条件で失業手当がもらえるということになります。
家族の介護や自身のけが、妊娠などをして「すぐに働けない」場合は、失業手当はもらえません(妊娠しても初期の段階であれば働くことは一応できる、というスタンスです)。
受給期間は最大で1年間と定められていますので、例えば90日の支給の人でも認定日にハローワークに行かなかったり、働ける状態でなければ支給が先送りされてしまいます。
何もしなければこの先送りが最大で1年間です。
ただし、以下の記事に詳しく書いていますが、延長を申請すればその限りではありません。
職業訓練は、上記の失業手当をもらいながら通える
公共職業訓練であれば、受講中は単に基本日額のみでなく、以下のような手当てが支給されます。
- 基本手当…受給者証に書いてある基本日額
- 通所手当…訓練開始時に申請する交通費
- 受講手当…1日500円(最大で40日分)
- 寄宿手当…宿泊が必要な訓練において1か月10,700円
1.基本手当
ごく簡単に言えば上記でもお話ししました雇用保険(失業手当)のことです。
受給者証に記載されている基本日額です。
人によって違うため、どのように額が決まるのかはテキトーにググってみて下さい(笑)
2.通所手当
通所手当とは、交通費です。
定めに基づいた経路であれば電車賃は全額支給されます。
遠回りをする経路だとか、こっちの駅のが便利だからとかいう泣き言は一切通用しません。
最短距離かつ学校に進行方向で、さらにその経路でかかる交通費が安いかどうかというところが焦点ですので、利便性等は全く考慮されません(例外を除く)。
ただであげるんだからそれくらい我慢しろよ、ということでしょうか(笑)
車の場合は一定距離に応じてガソリン代的な交通費が支払われますが、駐車場代等は出ないので電車の方が絶対的にお得になります。
通所手当の詳しいお話は以下の記事にて。
3.受講手当
1日500円が40日分(2018年8月現在)支給されます。
以前は日数制限がなかったり、1日700円だったりと色々と変更の多い手当です。
もしかしたら今後もまた変更があるかも知れません。
4.寄宿手当
簡単に言うと、家族と別居して住み込みで訓練を受ける場合に支給される手当です(1か月10,700円)
雇用保険(失業手当)を上手にもらう方法
職業訓練を受けるタイミングによっては、訓練中にうまく手当をもらえない可能性もあります。
知識を入れておくことで、ほかの人たちと差別化を図ることもできますよ。
失業手当を早めにもらう
自己都合で退職された方は待機期間(7日間)と給付制限期間(3か月)がありますが、訓練が開始すると給付制限期間をすっ飛ばして訓練初日から失業手当が支給されます。
失業手当をたくさんもらう
1.既定の期間の給付をもらいきる前に訓練に通うと、給付が延びる
以下の表内の日数分をもらい終わる前に訓練を開始すると、訓練終了まで失業手当をもらうことができます。
例外を除き、残日数が「3分の2」「120日」「150日」の3タイプに分かれていることがわかります。
給付の120日目に訓練がはじまれば、さらに3か月分を余分にもらうことができます。
こんなうまいタイミングで訓練を受けられることはそうそうありませんが…
つまりお金をもらうことがメインで訓練をうけることを防ぐ、という意味合いでしょうが、やることが中途半端すぎるわ…というのが正直な感想。
やるんならもっと残日数を減らさないと意味がないと思います。
そして正直、この程度の縛りでしたら給付目当ての人はいっぱいいます(小声)これが現場の声ですよ役人さん(笑)
なお、もし残日数が足りなかった場合は、訓練を開始しても交通費などをもらうことはできず、残っている日数分の失業手当をもらったら手当は終了です。
失業認定の手続きも自分でハローワークに出向く必要があります(通常は学校で手続きをしてくれる)。
2.訓練が終わったあとも給付が延びるかも…
訓練が修了した後にハローワーク職員との面談があり、それを無事?クリアできると延長給付としてさらに30日間(?)、受給が延長されることもあります(人と地域によります)。
あまりに就職意欲がないとかですと延長されないようですが…
失業手当をたくさんもらう方法 まとめ
つまり、会社都合退職の人で90日の給付の方が60日消化した時点(残り30日)で、3か月(90日)の訓練に入校すれば、訓練後の30日の延長給付も込みで考えると…
合計180日もらえるということです!
このように、制度を上手に利用している方もいらっしゃいますので一考の価値はあります。
失業手当と扶養の関係
旦那さんの扶養に入りつつ、失業手当をもらいながら職業訓練を受講したいという方もいらっしゃいます。
特に職業訓練を受講すると上記のように失業手当の給付期間が延びたりするため、扶養の範囲を超えてしまうのではないかという心配ごともでてきますよね。
そもそも「扶養」は「税法上の扶養」と「健康保険・年金上の扶養」2種類あるのをご存知でしょうか。
ついでなのでこの2つについてざっくりとお話しておきます。
1.税法上の扶養
ボーダーライン
毎年1月1日から12月31日までの個人の収入が、年間103万以内であれば税法上の扶養に入ることができます。
税法上の扶養は、要は税金が軽減されますよーということですね。
履歴書の「配偶者の扶養義務」や「扶養家族(配偶者を除く)」の扶養とは一般的にこちらを指します。
失業手当との絡み
失業手当は非課税収入=年間の所得とはなりませんので、失業手当との絡みとしては基本的にあまり気にしなくてもいいように思います。
2.健康保険・年金上の扶養
ボーダーライン
現時点(扶養に入る時点)から1年後の収入(見込み)が、年間130万円以内であれば健康保険・年金の扶養に入ることができます。
失業手当との絡み
失業手当はこちらの「健康保険・年金上の扶養」における収入の計算に加算されていくため、日額で言えば、1日3,612円以上の給付であればこの健康保険・年金上の扶養に入ることができません。
ですが、旦那さんの会社の入っている組合によるため、ネットであちこち調べたり知人にうだうだ聞くよりも、旦那さんの会社に確認してもらうことが手っ取り早い解決方法です。
訓練生の方で、訓練が終わったら給付が切れるため、旦那さんの扶養に入りなおすなどとおっしゃってた方もいらっしゃいました。
ちなみに話は変わりますが…言い方の問題でしょと言われたらそれまでですが、「扶養に入ると失業手当がもらえない」のではなく、「失業手当をもらうと扶養に入れない」が正しいです。
わたくしの知人で公務員の旦那さんの扶養に入ろうとした方がいらっしゃいましたが、離職票を回収されてしまい失業手当の手続きが出来ないとおっしゃっていました。
その後すぐに取り戻したので事なきを得たのですが、このようなケースが多い(先に扶養に入ろうとする)ため、上記のように「扶養に入ると失業手当がもらえない」という思い込みが増えているのではないかと思います。
法改正
「従業員数501人以上の企業に1年以上勤務する人」という限定はありますが、2016年10月より俗に言う「130万の壁」が106万に改正されます。
要はパートでも仕事をしていると社会保険への加入がしやすくなったため、喜ばしいと思うか思わないかは人それぞれでしょうが、失業手当という観点から見たら厳しい改正になりそうです。
また対象者が拡大するという発表もされておりますので、今後の動向に注目したいところです。
認定日も消滅して学校で手続きを行ってくれる
雇用保険(失業手当)を受ける方は、1か月間に2回、求職活動をしているかどうか確認される認定日が発生します。
この日はハローワークに出頭(いやな響きですね)する必要があります。
これは同時に、受給中にアルバイトをしていないかという失業認定申告書を記入したりする日でもあります。
ハローワークに出向かなければいけないし、しかも就活をしていないと給付が先送りになったりしますが、職業訓練に通うことによりこの手続きを学校の担当者が行ってくれます。
つまりご自分でハローワークに行かなくても良いですし、就職活動も義務的に行う必要もありません(でもそれとは別にちゃんと就活はしなきゃダメですよ)。
ただ学校側で「○○日に認定手続きを行いますよー」と設定した日に休んだりすると、全員分の手続きが完了しないため、クラスメイト全員の支給が遅れることになります。
連帯責任万歳です(笑)
迷惑をかけないようにしましょうね。
なお上でも書きましたが、給付の残日数が足りず給付が伸びなかった方は、自分でハローワークに出向いて手続きを取る必要があります。
ハローワークの開庁時間と訓練時間はかぶることが多いため、訓練を遅刻・早退などをして行かなければなりません。
終わりに
訓練に通うと、失業手当に関して以下のようなメリットがあります。
- 交通費が出る
- 1日500円の受講手当が出る
- 訓練に入校した時点で、給付制限期間をすっ飛ばして受給が開始する
- 訓練期間は失業手当をもらい続けることが出来る
- 場合によっては訓練修了後も延長して給付をもらえる
- 月1回の認定日に行かなくて良くなり、認定のための就職活動も必要ない
ということです。
あまりに給付目当てで通いすぎると勿体なさすぎるし、様々な記事で書かせていただいておりますが就職担当から目をつけらられるので、就職を期限内にするという意欲は絶対に持ったうえで受講しましょう。
そして扶養の面では、扶養加入日から1年間で130万円(日額3,612円)の給付を超えると社会保険・年金面での扶養から外れなければならないということです。
※旦那さんの会社に要確認
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