子育て中の失業者への就職活動の支援として、「求職活動関係役務利用費」という制度が平成29年1月より施行されました(雇用保険等を受給されている人に限ります)。
簡単に言えば、子育て中の方で就職活動・教育訓練を受ける際に託児所などの保育等サービス(以下の囲み参照)を利用したら、その費用を一部ですが国が負担しますよ、という制度です。
託児所や認可保育所・幼稚園の保育、認定こども園の保育、 ベビーシッターなどのサービスを指します。
この制度を当サイトで取り上げる理由としては、事務職に転職を希望されている方の中には、子育て中の方も多いからです。
ではどのような条件で、どのような支援が受けられるのか見ていきましょう。
ちなみに公式は以下のリンクをご覧ください。
公式サイト 求職活動関係役務利用費(厚生労働省のページです)
※リンク先はPDFファイルです。
求職活動関係役務利用費はどうしたらもらえるの?
「求職活動関係役務利用費」がもらえるのは、以下の3点の条件を全てクリアした状態で保育サービス等を受けた場合です。
- 雇用保険の受給資格者であること
- 就職活動をした or 教育訓練を受けた
- 保育等サービスを受けた子が保育の対象となる子であった
一部「何のこっちゃ?」だと思います。
ではこの3点について、ひとつずつ見ていきましょう。
1.雇用保険の受給資格者であること
雇用保険の受給資格者とは
- 基本手当がもらえる人(ほとんどの方は多分これ)
- 高年齢受給資格者(離職日の翌日から1年間)
- 特例受給資格者(離職日の翌日から6か月間)
- 日雇受給資格者
上記のいずれかの方が「雇用保険の受給資格者」に該当します。
2.就職活動をした or 教育訓練を受けた
以下にご説明する就職活動 or 教育訓練のいずれか1つが該当すればOKです。
就職活動
該当する就職活動とは
- 求人を出している会社などで面接を受けた
- 入社試験としての筆記試験を受けた
- ハローワークや届出のある職業紹介事業者が行う職業相談・職業紹介等を受けた
- 公的機関等が行う求職活動に関する指導を受けた
- 個別相談が可能な企業説明会に参加した
簡単に言えば、「失業認定における求職活動」に該当する活動を行った場合です。
認定日までに2回求職活動しなきゃ駄目ですよー、って言われた時の「求職活動」と同じ内容です。
c.は、派遣会社に登録に行ったなども該当します。
いずれもご不明な点は最寄りのハローワークにお問い合わせください。
なお、就職活動で保育等サービスを利用した場合は、15日分を限度として支払われます。
つまり16日目以降の利用分はお金が一切もらえません。
教育訓練
a.は託児所完備の職業訓練も増えてきていますので、あまり恩恵を受けることもないかも知れません。
c.の教育訓練給付は、民間の資格予備校等で行われている有料の資格取得コースなどが該当します。
なお、教育訓練は60日分を限度として支払われます。
つまり、61日目以降の利用分はお金が一切もらえません。
3.保育等サービスを受けた子が保育の対象となる子であった
良くわからない表現に見えますが、ご自分の実の子どもを預けて就活や教育訓練を受けた、等であれば全く問題ありません。
その他養子縁組等で条件が変わることもあります。
特殊な事情のお子さんということであれば、詳しくは厚生労働省のページでご確認いただくか(現在リンク切れです)、ハローワークにお問い合わせください。
求職活動関係役務利用費はいくらくらいもらえるの?
支給額と限度額
日払いの場合と月払い(月額)の場合の2通りあります。
日払いの場合
本人が負担した費用(保育等サービス利用費に限ります)の80%がもらえますが、1日あたり6,400円が上限です。
この6,400円という額は、8,000円の80%です。
つまり実質8,000円以上の費用がかかった場合は、どれだけお金がかかろうが1日につき6,400円までしか払い戻されないということになります。
1日9,000円の託児所にお子さんを預けても、6,400円までしかもらえませんよということです。
月払い(月額)の場合
以下の式で計算し、出た額が申請額になります。
例えば平成29年2月に面接を5日間うけ、月56,000円の保育費を支払ったとすると…
が申請額となります。
支給対象となる上限日数
上の方でも触れましたが、就職活動は最大で15日分、教育訓練は最大で60日分までの支給になりますので、それを超える日数は支給されません。
支給の手続きはどうすればいい?
大前提として、前もってお金がもらえるわけではなく、就活後&託児等サービスを受け終わった後になります。
求職活動支援費(求職活動関係役務利用費)支給申請書」に、以下の必要書類を添えて、失業認定日にご自分の管轄のハローワークへ提出します。
求職活動関係役務利用費を申請する時に必要な書類
- 受給資格者証等
- 保育等サービス事業者が発行する領収書
- 保育等サービス事業者が発行する「保育等サービス利用証明書」
- 保育等サービス事業者が発行する「返還金明細書」(該当者のみ)
- 面接証明書など、面接したことがわかる証明
- 教育訓練受講証明書など、訓練を受講したことがわかる証明
- 対象となる子の氏名・本人との続柄が確認できる住民票記載事項証明等
- 保育等サービス利用費について、地方公共団体等の第3者から補助を受けた場合は、その額を証明する書類
※上記書類の細かい要件は公式ページに載っております。
※詳しくは必ずハローワークにお問い合わせください。
終わりに
まとめますと、
- 雇用保険受給者で、子を預けるなどして就活をすると一部のお金が戻ってくる
- 教育訓練や職業訓練を受けても可
- 支払いは日払いと月払いの2通りがある
- 手続きは就活や託児終了後にハローワークで申請
ということです。
託児利用費だけでもかなりのお金が飛んでいくというのに、他にも履歴書や封筒代、写真代、郵便代、面接への交通費など…就職活動は意外とお金がかかります。
ですので少しかも知れませんが、このような補助制度は該当者にとってはとてもありがたいですね。
上手に利用しましょう。
そしてくどいですが、支給対象かどうか、あるいは支給に必要な書類など、ご不明な点は必ずご自身でハローワークにご確認ください。
コメント