職業訓練は、単に資格を取るための勉強だけではなく、必ず「就職支援」のカリキュラムが盛り込まれています。
この就職支援は、履歴書や面接の対策授業だったり、個別面談だったり、ハローワーク訪問だったりと、就職に関しての内容がてんこ盛りです。
一応都道府県から指定をされているため、就職支援を行わなければいけないということになっています。
また就職率というものがあるため、少しでも早く就職してもらうために支援をするというわけなんですね。
ではこの就職支援とはどんなことをやるのでしょうか。
職業訓練を受ける人にとって役に立つのでしょうか。
この記事では、そのあたりのお話をさせていただきます。
職業訓練に通って就職できるの?などとお思いの方はぜひお読みください。
職業訓練を受けたら早期就職ができるのか?
結論を先に申し上げますと、すぐに就職できるかどうかは本人の努力次第です。
どのコースも、100%すべての人が就職できているわけではないのです。
他のいろんな記事でも同様のお話をさせていただいておりますが、訓練に通った&資格を取ったからといってすぐに就職できるわけではありません。
修了後にすぐに再就職をするためにやっておいた方が良いことをまとめた記事もありますので、そちらをご覧ください。
一応抜粋すると、
- 履歴書や職務経歴書など、良い書類を作り上げる
- 面接の受け答えを対策する
- 就職に対して阻害要因(邪魔になるもの)を取り除く
- 希望する職種や雇用形態など、進路を明確にしておく
- 数多く応募をする
こんな感じです。
自動的に就職先は降ってきません。
それ相応の努力をする必要があるということがおわかりいただけたでしょうか。
しかしこれらのことを1人でやるのはなかなか大変です。
職業訓練の就職支援担当は、スムーズに就職ができるように、書類作成のサポートや進路確認など、このような内容に対して色々とお手伝いをしてくれるわけです。
職業訓練の就職支援は無料なの?親切過ぎ?
すべて無料です。
ただし報告期限の期間内だけというように、期限付きの場合が多いです(そうしないとキリがないですからね…)。
学校によってはここまでしてくれるの…?というような手厚いサポートをしてくれるところもあります。
もちろん単に親切な人もいらっしゃいますが、就職率が高ければ学校としても色々とうまみがあります。
ですので訓練生のみなさんが就職してもらうために色々と工夫をしています。
全部がそうとは限りませんが、就職率が高いということは、就職支援が充実しているか…支援のしかたが上手ということでしょう。
就職スキルが不安な方は、就職支援の内容を説明会などで確認しておくと良いです。
大手の学校ほどサポートが薄い傾向にあります。
職業訓練ではどんな人物が就職支援をしてくれる?
訓練校には、必ず就職支援担当という人物が存在しております。
この就職支援担当は、キャリアコンサルタント(国家資格)と呼ばれる、就職指導を専門にした人がメインで行います(すべての学校がそうとは限りません)。
そのためほとんどの訓練校がキャリアコンサルタントを雇っています。
このキャリアコンサルタントを上手に使いましょう。
授業後や休憩中に上手くつかまえて、いろいろと個別に添削指導などを受けていくと良いです。
就職支援の授業内容
カリキュラム内に「就職支援」「就職ガイダンス」「就職活動対策」などの授業が組み込まれている学校がほとんどです。
つまり就職活動に関する授業です。
この授業の内容は主に2タイプにわけられます。
1.早期就職サポート
細かい部分は学校によってさまざまですが、大まかなところでいくと「履歴書・職務経歴書の作り方」「面接の対策」「自己分析」といったところでしょう。
このサイトでもいろいろな記事に書いておりますが、応募書類を作るためには自己分析が必要になります。
ですから自己分析もあわせて授業に組み込まれているパターンが多いかと思います。
ちなみにわたくしは「報告期限内に就職をするための方法」という、就職活動のやり方をかなり重点的に話をしてました(上にもあげております)。
2.職業能力基礎スキル
アイスブレイク(自己紹介みたいなもの)やコミュニケーション、ビジネスマナー(名刺のやりとり、電話応対、文書マナー)などが組み込まれている学校があります。
この辺りは社会人経験が長い人にはかなり苦痛かも…
内容的に就職支援の授業はあんまり役に立たないのか?
年齢・性別・経験・希望職種や雇用形態など、いろんな方がいらっしゃいますので、全員に有効な内容というのはなかなか難しいです。
ですから、人によっては意味ないなーなどと感じるものもあるかと思います。
実際いろんな方の体験談を見ても意見はさまざまですね。
ただ謙虚に話を聞いていると、もしかしたら新しい発見があるかも知れませんよ。
自分から就職支援担当をつかまえ、積極的に質問しよう
内容があまり自分にとって役に立たないなと感じたら、自分から就職支援担当をつかまえにいくなど、積極的に動くことも大事です。
例えば履歴書の書き方など、あまり参考にならないなーと思ったら自分から個別に添削をお願いするとかです。
上でも書きましたが、万人に通用する内容で授業を展開するのはなかなか難しいものがありますからね。
ちなみにせっかく個別に時間をもらうのであれば、以下のようなことを聞いてみたりするのが良いでしょう。
- 求人をたくさん出力して、自分に合った求人・ブラックそうじゃない求人を見分けてもらう
- 履歴書・職務経歴書など応募書類の最終チェック
- 志望動機・自己PRの添削
- 面接対策(服装・質問に対する回答)
またこのような質問以前に、ご自分の向き不向きや、家庭環境から導き出される雇用形態など、基本的な進路について迷っている人も的確なアドバイスをもらえるはずです。
キャリアコンサルティング(個人面談)
横文字を使われるとピンときませんが、個人面談が訓練中に2~3回行われます。
上のように自分から相談するものとは別に、必ず学校側から面談を設定されます。
だいたい1人20~30分くらいで、内容は退職理由から現状や、進路確認などです。
時間も短いので、進路の方向性を決定づけるような内容にはなっていない場合が多いです。
ここで例えば、「40代で事務未経験者が正社員で事務に行きたい!」など、実現が難しい進路を希望している方は、なぜ難しいのかをきちんと説明され、除外するようにアドバイスされるかも知れません。
就職にリミットがある関係上、さっさと就職してもらわなければいけないので無理そうなものは除外しようということです。
ハローワーク訪問
最初からあらかじめ、ハローワークに行く日が設定されていたりします。
この日は全員ハローワークに行き、職業相談をしてこなければいけません。
だいたい訓練の後半に設定されていることが多いです。
内定者はもちろん除きます。
翌日に、きちんと職業相談をしてきた証明を訓練校に提出しなければいけないところもあります。
うーん厳しい。
公共職業訓練に通うと認定日はなくなり、学校側で手続きするようになります。
ハローワークからのアンケートで、希望条件の求人を送ってくれる
「どんな条件で転職したいのか」をアンケートに記入すると、ハローワークの職員がそのアンケートにそった求人をピックアップし、あなたのもとへお届けしてくれます。
進路の固まってくる、だいたい訓練の中盤~後半に行われることが多いです。
訓練校、または自宅に郵送してくれたり、上のハローワーク訪問時に配られたりします。
すごくありがたい制度ですが、ちょくちょく変な求人が混ざってます。
変なというのは条件に見合わない求人という意味です。
あとブラック企業も平気でぶち込んできますので、ネットで評判を見るとか訓練校の就職支援担当に相談しましょう。
ほかにも、求人の見分け方を書いたこちらの記事も参考にしてみてください。

正直に本音を言いますと、全員分の求人の選別が結構大変なんでちゃんとして欲しいです(小声)。
ブラック企業とわかっているところに教え子をみすみす行かせるわけにはいかんのです!(キリッ)
わたくしの地域も昨年度から導入されたばかりです。
かわりにハローワーク訪問がなかった…のですが、今年度から行うことに(笑)
企業実習のある職業訓練も…!
この企業実習は通常の訓練などでは行われません。
デュアル訓練と呼ばれる、訓練期間が6か月くらいある訓練で行われます。
だいたい最後の1か月くらいを使って、実際の企業に行って実習をします。
実習内容は企業によりけりという感じです。
事務系だったら書類作成や電話応対の実習、という具合です。
一番多いのはIT系(プログラミングとか)か現場作業系(ものづくり)です。
特に未経験であれば自分が訓練で習っている知識がどう活かされるのか、あるいは仕事のイメージがなかなかつきづらいです。
そのため、実際に現場でお試し労働ができるため、結構ありがたいという声は多いです。
ただすごく厳しい企業にあたってしまった場合と、希望している職業に適性がないとわかったときは結構地獄ですが…
就職活動は訓練中からはじめよう
授業を休んででも行うべき?!
訓練校の担当から指導があるとは思いますが、訓練中の授業を休んでも就活をすることをおすすめします。
ここまでお話してきたような、就職支援を受けながら活動できるチャンスはそうそうありません。
訓練が終わってから就職活動をするのでは遅いですし、なによりもったいないです。
特に事務職などの人気の高い職種を未経験で志望している場合は、かなりの努力が必要になります。
その努力のうちのひとつが「就活に使える時間を増やし、たくさん応募する」ということです。
ですから訓練中にしっかりと動いていく必要があります。
就職活動を訓練中にした方が良いという詳しい理由や、訓練中にうまく活動するコツは以下の記事に詳しくまとめております。

授業を休んで応募するのは難しい人はWeb求人がおすすめ
正直なところ、訓練を休んで就職活動をするのはなかなか難しいという方もいらっしゃいます。
わたくし筆者は、職業訓練の受講生の就職支援担当でもあります。
ですから、いろいろな媒体(応募をする経路)を使って応募をしているの人を目の当たりにしています。
その中で多いのは、やっぱりハローワークでの応募がトップです。
しかしハローワークに行ってもいい求人がなくてとんだ無駄足…ということも考えられます。
そこでもうひとつ、訓練生が就職活動をしている経路として、Webからの応募です。
授業の合間の休憩中などにさくっと見れるのがWeb応募の強みです。
Webといってもハローワークの公式サイトもあります。
しかしハローワークはWeb応募ができないため、応募したい企業があっても授業を休んでハローワークへ出向かなければいけません。
ですから、ハローワークの他に利用したいのが、求人サイトです。
ハローワークとの2本立てで活動を行えば、応募できる企業もぐんと増え、採用のチャンスが広がります。
ここでは、職業訓練生によく使われている&就職支援の際にわたくしがおすすめする求人サイトを紹介します。
いずれも無料なのが嬉しいところ。
・とらばーゆ
とらばーゆは登録している人がかなり多いです。
女性向けのサイトになりますが、わたくしもほとんど女性相手に指導させていただいておりますのでご紹介です。
こだわりの検索ができるところがいいとのことです。あと単純に知名度の高さ(笑)
指導の際は求人画面を見せてもらってますが、とらばーゆの求人画面は他社とくらべて見やすい気がします。
・マイナビエージェント(おすすめ!)
CMでもよくやっているマイナビという転職サイトがありますが、そのエージェント版です。
いろいろな転職エージェントを提供しているサイトはありますが、わたくしが見た訓練生は
マイナビエージェントが多いと感じます。
あなたに担当がつき、その担当が無料で転職相談から求人紹介、そして面接のセッティングや賃金交渉などなど…転職活動をサポートしてくれるサービスです。
世の中には出ていない非公開求人を紹介してくれるところも特徴です。
上記の囲みのとおりですが、言い換えますと「自動的に転職活動を進めてくれる」サービスです。
特に密度の濃い職業訓練ですと、勉強が忙しくてなかなか就活まで手が回りませんので、裏であなたの代わりに活動をすすめてくれるというのは非常に心強いです。
さらに非公開求人も探して紹介してくれるため、他の応募者と差をつけることも可能です。
実際にエージェントと顔合わせ(面談)する必要はありますが、少しでもいいところに入るための必要税だと思ってください。
ただ残念な点としては、応募書類の添削が一般的すぎるというか、訓練に沿った感じではないことですかね…
エージェントが添削した職務経歴書を訓練生に見せてもらったことがありますが、正直なことを言いますと、応募書類としてはややアピール不足な点があり、あまり実践的ではないと感じました。
やはり応募書類は訓練校にいる就職支援担当を上手く活用した方が良いでしょう。
なにせ同じような訓練生ばかり見てきていますので、そのコースを受けた職業訓練生が合格する書類の作り方を知っています。
ただそのような応募書類を差し引いても相当に使えるサービスですので、ぜひとも活用してみてはいかがでしょうか。
他にもいろいろな転職サイトありますが、詳しくは以下の記事をご覧ください。
いずれも訓練生の使用率が高いものばかりです。

終わりに
まとめますと、
- 就職支援は無料だが、早期就職のためには本人の努力が必要
- キャリアコンサルタントが就職支援を行ってくれる
- 履歴書の書き方など、就職支援の授業がある
- 個人面談が訓練中に数回ある
- ハローワーク訪問や、アンケートがある
- 一部の訓練には企業実習がある
- 訓練中から就職活動をした方が圧倒的に有利
ということです。
学校によって違いはありますが、職業訓練の就職支援は非常に多岐にわたります。
得られる知識や資格を基準に選ぶのもいいですが、このような就職支援の充実度もひとつ目安にしてもらうと、また違った視点で学校を選ぶことができますよね。
また訓練中に就職活動をすることを結構言われますので、両立が難しいと思う人は上であげたようなWeb求人サイトを活用してみましょう。
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